Visaは16日、ステーブルコイン決済基盤Visa Stablecoin Platform(VSP)を公表した。
同プラットフォームは世界の加盟店・金融機関約2億拠点を接続し、OUSD、USDC、USDGの3種類のステーブルコインに初期対応する。
VSPは世界の加盟店約2億拠点と、約1万5千の金融機関を接続する規模となる。Visaが年間15兆ドル規模で運用する既存の決済網の上に、ステーブルコインの処理機能を積み上げる形で構築された点が特徴とされる。
初期展開は一部のベータ顧客を対象に始まり、2026年内に対象範囲を広げていく計画が示されている。
OUSD軸に3銘柄対応
VSPが初期対応するステーブルコインは、業界連合Open Standardが発行するOUSD、Circle発行のUSDC、Paxos発行のUSDGの3種だ。
このうちOUSDはVisaが戦略的な入口として位置付ける資産とされ、Visa自身もOpen Standard連合の参加企業に含まれる。
OUSDは100社超の発起機関が参画する新興ステーブルコインで、既存のUSDCやUSDTの市場に挑む形となっている。Visaの担当者は、商戶がどのようにステーブルコインを取得するかではなく、財務・決済フローとの連携が重要だと説明したという。
VSPは即時決済とオンチェーン台帳への記録を特徴とし、利用者側からはブロックチェーンの技術的な詳細を意識させない設計になっているとされる。
既存インフラへ統合
Visaは2021年からUSDC決済の実験を進め、2023年には主要決済網として初めてステーブルコインでの取引決済を開始した企業の一つとなった。
2024年10月には銀行発行型ステーブルコインの発行・管理を支援するVisa Tokenized Asset Platform(VTAP)を立ち上げている。
2025年8月にはUSDC、USDGの2大ドルステーブルコインでの決済対応を発表し、同年12月には米国内でUSDC決済を正式に開始して金融機関の接続を広げた。
今回のVSPは、こうした後端の決済網としての機能を、加盟店が直接利用できるプラットフォーム層へと引き上げるものとされる。
この過程でCross River BankやLead Bankといった銀行が、Solanaブロックチェーン上でのUSDC決済に参加している。
規制整備と業界動向
米国および各国での規制枠組みの整備が進んだことが、銀行によるステーブルコイン活用の後押しになっているとされる。国境を越えた資金移動やオンチェーン金融サービスへの銀行参入が、以前より容易になった状況が背景にある。
フィンテック企業や決済サービス事業者の間では、ステーブルコインをドル建ての安定した価値保存手段や、国境を越えた決済・プログラム可能な金融基盤として活用する需要が拡大している。
Visaは2025年5月にステーブルコイン基盤企業BVNKへ戦略的投資を行うなど、関連分野への関与を強めてきた。
こうした規制環境の変化と市場需要の高まりが、VSPのような統合型プラットフォームの登場を促した要因として挙げられる。
今後の展望
VSPの本格展開により、加盟店や金融機関の間でOUSD、USDC、USDGの取引量が増加する可能性がある。銀行やフィンテック企業が財務管理や国境を越えた支払い、口座間決済にステーブルコインをより深く組み込む動きも想定される。
Visaは2025年に実施したVisa Directのステーブルコイン払い出し試験など、消費者やギグワーカー向けの資金アクセス改善にも取り組んでおり、こうした取り組みの延長線上にVSPが位置付けられる。
今回の発表は、他の決済網にも同様の統合を促す競争環境を生む可能性がある。
VSPは当面ベータ顧客への提供にとどまるが、Visaは2026年内に対象を広げる方針を示しており、今後の普及範囲や取引実績が注目される。