金融庁と警察庁は6日、連名で日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)に対し、暗号資産(仮想通貨)を使った詐欺被害を防ぐための対策強化を要請した。

出庫先の事前登録制や取引モニタリングの強化など計11項目の措置を新たに求めた。今回の要請は、仮想通貨交換業者の口座を経由した詐欺被害が増加していることを受けたものだ。

11項目の具体的内容

今回の要請では、口座開設時の詐欺対策強化や、顧客への確認・注意喚起の徹底など複数の項目が挙げられている。特に、日本円の入金や仮想通貨購入後、一定期間の出庫を制限する措置が盛り込まれている点が特徴的だ。

さらに、出庫先アドレスの事前登録制度や、登録後の出庫額に上限を設ける仕組みも求められている。加えて、取引内容やアクセス環境の監視強化、不審な動きを検知した際の口座制限・凍結の迅速化も要請項目に含まれる。

以下は主な要請項目の一部をまとめたものである。

項目 内容概要
出庫先事前登録 出庫先アドレスの事前登録と登録後の上限設定
出庫制限 入金・購入後一定期間の出庫制限
監視強化 取引内容・アクセス環境のモニタリング強化
口座制限 不審検知時の迅速な口座制限・凍結
本人確認 なりすまし疑い時の追加認証強化

このほか、送金者名と口座名義の一致確認、詐欺の手口に関する情報共有、警察への情報提供と連携強化も項目に含まれている。

交換業者と利用者への影響

JVCEAに加盟する仮想通貨交換業者は、今回の要請を受けてコンプライアンス体制や監視システムの見直しを迫られる可能性がある。

特に、出庫先の事前登録制度や取引モニタリングの強化には、システム改修や運用体制の整備が必要になるとみられる。

利用者側にも影響が及ぶ可能性がある。口座開設時の確認手続きが増えたり、出庫先の変更時に追加の認証や一定期間の待機が求められたりするなど、これまでより手続きに時間がかかる場面が増える可能性がある。

こうした変更は利便性の低下につながる面もあるが、詐欺被害の防止という観点からは、業界全体の信頼性向上に寄与するとみられる。

今後の見通し

今回の要請は、金融庁と警察庁が銀行分野で進めてきた不審取引対策の考え方を仮想通貨分野に拡張する動きとして位置づけられる。今後、JVCEA加盟業者がどの程度の期間で具体的な対応策を導入するかが注目される。

業界内では、監視体制の強化や本人確認手続きの厳格化が進むことで、詐欺被害の減少につながることが期待されている。一方で、利用者の利便性とのバランスをどのように取るかが、各交換業者にとっての課題になるとみられる。

金融庁と警察庁による今回の要請は、仮想通貨市場に対する規制姿勢が一段と厳格化していることを示すものであり、今後も同様の連携強化策が講じられる可能性がある。