ウエスタンユニオンは5日、ソラナ(SOL)基盤のドル連動型トークンUSDPTを核とするデジタルウォレットとVisaカードを、決済スタートアップのRainと共同で正式に開始した。
この新サービスは「Stablecard by Western Union」と名付けられ、送金受取からドル価値の保有、Visa加盟店での支払いまでを一つのアプリで完結できる点が特徴だ。
展開は37の市場から始まり、年内に60以上の市場への拡大を目指すという。
USDPT構想からの延長
ウエスタンユニオンは2025年10月28日、米ドル連動の決済トークンUSDPTと、暗号資産(仮想通貨)と既存の現金化インフラを結びつける「デジタルアセットネットワーク」の構想を発表していた。
この時点でUSDPTはソラナ上に構築され、アンカレッジ・デジタル・バンクが発行体となることが明らかにされていた。
今回発表されたStablecard by Western Unionは、この構想を単なるトークン発行から、実際に消費者が使える決済サービスへと具体化したものだ。
ウエスタンユニオンの公式ページでも、自己管理型のUSDPTウォレットとVisaカードを組み合わせたモバイルアプリの提供が予告されていた。
ウォレットとカードの仕組み
新サービスでは、利用者はウエスタンユニオン経由の送金を直接USDPTウォレットで受け取ることができる。受け取った資金はドル価値のまま保有でき、必要に応じて別の利用者へ送ることも可能だ。
支出面では、ウォレットに連携したVisaカードを使い、Visaが利用可能な店舗であればそのまま決済できる仕組みとなっている。
カードはApple PayおよびGoogle Payへの登録にも対応しており、対面・非対面の双方で利用できる点が強調されている。パートナーのRainも、同カードがおよそ1億7500万カ所のVisa加盟店で利用可能になるとしている。
USDPTの発行体と裏付け
USDPTは米ドルと1対1で交換可能とされ、保有分は資産により全額裏付けされていると説明されている。発行体はアンカレッジ・デジタル・バンクで、規制対応を重視した設計となっている。
ブロックチェーン基盤にはソラナが採用されており、処理速度の速さと手数料の低さが、小口の送金や日常的な支払いに向いているとされる。
ウエスタンユニオンは、対象市場の利用者が24時間体制でUSDPTによる送金を受け取れるとしており、従来の営業時間や窓口対応に縛られない受取方法を提示している。
展開市場と今後の計画
Stablecard by Western Unionは、まず37の市場で提供が始まった。ウエスタンユニオンは年内にこの対象市場を60以上に拡大する方針を明らかにしている。
段階的な展開は、まず限られた市場で稼働状況や規制対応、利用者の反応を確認しつつ、地域ごとの通貨事情や送金需要に応じて対象を広げていく狙いがあるとみられる。
特に自国通貨が不安定な地域では、送金を受け取った後も現地通貨に両替せずドル価値のまま保有したいという需要が強いと指摘されている。
市場への影響と今後の見通し
今回の発表は、送金大手が仮想通貨のインフラを自社サービスに正式に組み込んだ事例として注目される。ドル連動トークンとVisaカードを組み合わせることで、加盟店側に暗号資産対応を求めずに、利用者が実質的にデジタルドルを使える仕組みを実現した点が特徴だ。
今後、同様の仕組みを提供する競合サービスが増える可能性があり、特に自国通貨が不安定な送金コリドーでは、受取と保有、支出を一体化したサービスへの需要が一段と高まるとみられる。
ウエスタンユニオンが年内に予定する60以上の市場への拡大が、実際にどこまで進むかが今後の焦点となる。