SBIグローバルアセットマネジメント株式会社は15日、シンガポールのDigiFT Tech Pte. Ltd.およびStartale Group Pte. Ltd.と共同で、トークン化した日本株ファンドの決済・分配に関するテストネットPoCを開始した。

円建てステーブルコイン「JPYSC」の仕様を想定した検証用トークンを用い、イーサリアムのテストネット上でファンド申込時のオンチェーン決済と分配金支払いの技術検証を行う。

今回の検証は、ファンドの申込から決済、保有者への分配金支払いまでの一連の流れをオンチェーンで完結できるかを確認することが目的だ。

実際の資金や商品を用いるものではなく、あくまで技術面の検証にとどまる。

検証用トークンで技術確認

PoCでは、円建てステーブルコイン「JPYSC」の仕様を想定した検証用トークンを使用する。実際のJPYSCそのものではなく、その仕組みを模したトークンをイーサリアムのテストネット上で流通させ、決済プロセスを再現する形となる。

検証項目は大きく2点で、1つはファンド申込時点でのオンチーン決済、もう1つは保有者に対する分配金支払いだ。

いずれもブロックチェーン上での処理が現行の事務フローと比べてどの程度効率化できるかを見極める狙いがある。

SBIとStartaleの連携背景

今回のPoCは、SBIグループが進めるオンチェーン化戦略の一環だ。

SBIホールディングスとStartale Groupは2025年8月、トークン化株式の国際取引を近似的な即時決済で実現するグローバル取引基盤の構築に向けた合弁を発表しており、今回の検証はその流れを受けた具体的な取り組みと位置付けられる。

SBIグループはこれまでもシンガポールのブロックチェーン関連企業との協業を通じ、資本市場インフラの現代化を進めてきた。今回のファンド決済分野への展開も、この一連の戦略の延長線上にあるとみられる。

決済短縮と透明性向上狙う

現行のファンド決済は申込から分配まで複数営業日を要するのが一般的だが、オンチーン処理が実現すれば秒単位での決済が可能になるとされる。これにより24時間365日の処理体制や、取引相手のリスク低減につながる可能性がある。

また分配金の支払いをステーブルコインで行えば、保有者は受け取った資金を即時に再投資や送金、他のオンチーン金融サービスへの活用に回せるようになる。

暗号資産(仮想通貨)を活用したプログラマブルな金融の一例として、業界内でも注目されている。

実用化への課題と今後

現時点でJPYSCの利用は、SBI VCトレード内のアカウントに限られており、外部ウォレットへの送金には対応していない。

今回のPoCはあくまで基盤技術の妥当性を確認する段階であり、実際のサービス提供までにはさらなる検証や制度整備が必要とみられる。

今後、テストネットでの検証結果を踏まえ、実運用に向けた課題整理が進む可能性がある。SBIグループが目指すファンド決済の高速化や透明性向上が実現すれば、日本の資本市場における仮想通貨関連インフラの活用が一段と広がることが見込まれる。