JPYC株式会社は5日、日本円ステーブルコイン「JPYC」のシリーズBラウンドでエクステンション(追加)調達を実施したと明かした。

今回の調達により、シリーズB全体の累計調達額は約60億円に達した。新たな引受先として物流大手のAZ-COM丸和ホールディングスが加わった。

JPYCは暗号資産(仮想通貨)の一種であるステーブルコインで、日本円と価値を連動させる設計が特徴となる。決済や送金の基盤としての活用を見据えた事業展開が進められている。

丸和HDが新規引受先に

今回のエクステンションラウンドでは、物流大手のAZ-COM丸和ホールディングスが新たに引受先として参画したことが明らかになった。JPYC側は、同社の物流網とJPYCとの間にシナジーが見込まれると説明している。

物流と資金移動を組み合わせた「オンチェーン金融」の可能性を示唆する動きとみられる。

従来の仮想通貨関連の調達では金融機関やコーポレートベンチャーキャピタルなどが中心だったが、物流分野の事業者が加わったことは、ステーブルコインの用途が投機的取引にとどまらず、商流や実物資産の移動と結びつく方向に広がっていることを示している。

JPYCはこれまでも金融機関を中心とした幅広い投資家層を引き受け先としており、今回の参画によって業種の裾野がさらに広がった形となる。

累計調達額の推移

JPYCのシリーズBラウンドは複数回にわたって段階的に実施されてきた。5月22日には、第一回・第二回のクローズを経て累計調達額が約50億円に達したことが発表されていた。

発表日 累計調達額
2026年5月22日 約50億円
2026年8月5日 約60億円

約3カ月の間に累計額が約10億円増加した形となる。同社はこれまでのラウンドでも、金融機関や事業会社など多様な投資家の参画を明らかにしてきており、日本円ステーブルコイン基盤に対する投資家の関心が段階的に高まっている状況がうかがえる。

今後の展望と市場への影響

JPYCは今回の調達を通じて、実証段階から実社会での広範な利用への移行を進める方針を示している。金融とWeb3の両分野でのエコシステム拡大が図られれば、決済や送金、企業間取引における日本円のデジタル流通の基盤強化につながる可能性がある。

AZ-COM丸和ホールディングスのような物流事業者の参画は、商取引と資金移動を一体化させた新たな決済モデルの実現に向けた一歩とも位置づけられる。今後、他業種からの資本参加や事業提携が広がるかどうかが注目される。

日本国内では仮想通貨関連の制度整備が進む中、ステーブルコインを軸とした企業のトークン化資金移動への関心が高まりつつある。JPYCの資金調達動向は、国内の決済・清算インフラの今後の方向性を示す一つの指標として、引き続き市場関係者の注目を集めるとみられる。