参議院財政金融委員会は14日、金融商品取引法および資金決済法などの改正案を賛成多数で可決した。

同法案は4月10日に閣議決定を経て国会に提出され、6月10日に衆議院財務金融委員会、6月11日に衆議院本会議をそれぞれ通過している。

参議院での審議を経て、成立に向けた手続きは残すところ参議院本会議での採決のみとなった。今国会での法案成立が確実視されており、成立後は暗号資産(仮想通貨)の規制枠組みが大きく変わることになる。

改正案の主な内容

改正案の核心は、仮想通貨を株式や債券と同様に「金融商品」として金融商品取引法の下に位置づける点にある。これにより中央発行体を持つ仮想通貨の発行者には、発行前の情報開示や財務監査が義務付けられる。

発行者が存在しない仮想通貨については、取引所を改称した「暗号資産取引業者」が開示責任を負う仕組みとなる。加えて仮想通貨のインサイダー取引が明確に禁止され、違反は証券取引等監視委員会の調査対象となる。

項目 改正前 改正後
法的位置づけ 決済手段(資金決済法) 金融商品(金融商品取引法)
無登録業者への罰則 懲役3年・罰金300万円 懲役10年・罰金1000万円
インサイダー取引 明確な規定なし 禁止・監視委員会が調査
仲介業務 個別規定なし 「暗号資産仲介業」を新設

無登録業者への罰則も強化され、懲役は3年から10年に、罰金は300万円から1000万円に引き上げられる。また資産を保有せず取引の媒介のみを行う事業者向けに、新たに「暗号資産仲介業」の登録制度が設けられる。

資金決済法からの転換

これまで仮想通貨は資金決済法の下で主に決済手段として扱われ、株式や債券に適用されるような厳格な投資家保護の仕組みは整っていなかった。市場の拡大に伴い、インサイダー取引や無登録業者による問題、相場操縁のリスクが指摘されるようになった。

こうした状況を踏まえ、規制当局や国会は仮想通貨を金融商品取引法の枠組みに組み込む改正を進めてきた。改正案は4月の国会提出から3か月余りで衆参両院の審議を経て、成立の最終段階に至っている。

今後の見通しと影響

今回の改正は、仮想通貨に関する税制改正の前提条件ともなっている。現行の総合課税では最高55%の税率が課される場合があるが、法律が2027年に施行されれば、2028年1月1日から分離課税として20%の税率が適用される見通しとなっている。

仮想通貨取引業者や発行者にとっては、開示や監査などのコンプライアンス対応の負担が増す一方、規制の明確化によって制度の透明性が高まり、機関投資家の参入を促す可能性がある。個人投資家にとっては投資家保護の強化が期待される反面、業界の一部からは規制強化への懸念も出ている。

参議院本会議での採決を経て法案が成立すれば、日本の仮想通貨規制は資金決済法中心の枠組みから金融商品取引法中心の体制へと大きく転換することになる。今後の市場動向や関連業界の対応が注目される。